剪定の基本原則を「果樹剪定原則」(大崎 守著)から29ヶ条にまとめました。

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 1,地上部と地下部は相互に密接に相関連する。
 2,生長作用と生殖作用は或程度まで相反する。
 3,生長作用は樹齢の加わるに従って衰え、生殖作用は樹齢の加わるに従って盛んになる。
 4,樹姿は年令によって変化する。
 5,垂直な枝が最も強勢で、斜、水平、垂下となるに従って勢力が弱くなる。
 6,上位の芽程萌芽率多く而も立って強く伸び、下位の芽程之に反する。
 7,太くて真直な枝には多くの樹液が流動し、屈曲は樹液の流動を妨げる。
 8,幹の高さは低い程勢力が強い。
 9,発生角度の狭い枝程裂け易い。
10,主枝の発生位置は相当に距てたい。
11,枝葉の伸展は養分の消費にして、伸展停止により養分の蓄積を始める。
12,花芽分化期は大体定まっており、それには養分蓄積が不可欠の条件である。
13,開花結実は著しく養分を消耗するもので隔年結果は此の理由から起こる。
14,開花期に花の栄養を助長すれば結果歩合を高め、硬核期に於ける果実の栄養不良は
   生理的障害を起こし易い。
15,日照を満喫せしめることは最も肝要なことで、樹冠外部は勿論内部でも不足してはならぬ。
16,株間は少なくとも適度の剪定で日照に不足しないだけは必要である。
17,樹姿は生長の習性を尊重することを第一として定めたい、樹姿を定めるには結果面積、或いは
   容積の広狭を考慮せねばならぬ。
18,主枝、亜主枝(存在せざることあり)側枝を判然と区別して整枝することとし、主枝は最も太く強勢
   ならしめ、亜主枝、側枝と順次之に次ぐこととし、決して此の順序を転倒してはならぬ。
19,主枝は真直で全長を頑丈にしたい。
20,主枝及び亜主枝の間隔は日照に支障を来さざる程度とし、並行するがよい。
21,同格の枝は互いに大きさ並に勢力を均衡に保ちたい。
22,落葉果樹に於いては地上部の冬季剪定で萌芽数を減ずると勢力を増すが生長量を減ずる。
23,常緑果樹に対する地上部の冬季剪定は落葉果樹に対するよりも生長量の減少が著しく、
   衰弱したものに行えば勢力も衰える。
24,同程度の剪定であると切り返し剪定を行えば枝が立って勢力が強くなり、間引剪定を行えば
   枝が開いて結果が多くなる。
25,側枝は短小で新しい程よい。
26,側枝は日照に支障を来さない限り密に着生せしめ、親枝の周囲に平均に着くのが最良である。
27,夏季剪定は癒力を弱めると共に生長量を少なくする。
28,夏季剪定は成るだけやめたい。
29,切り口の癒合を早く完全ならしめたい。          

柿栽培法  剪定の基本剪定の総則

昭和51年6月の父の手記より

剪定の基本

1. 先ず樹勢を見て整枝抜枝の計画を立てる。
2. 剪定の強弱は、樹勢により強い樹は弱く、弱い樹は強くする。
3. 樹勢は品種、園圃、一樹、主枝及び樹の上部、下部により異なる。
4, 早く落ち着かせるために枝の長取り剪定をする。
5. 花芽(着果)を多くすれば枝や母枝は細くなる。又葉芽を多くすれば枝や母枝は太くなる。
6. 樹勢により予備枝の数を増減する。
7. 新梢を強く切れば更に強い新梢が数少なく出て、弱く止めると短い新梢が多く出る。
8. 日照を良くする。
9. 樹勢の強弱による剪定。
    強い場合
     ・枝の長取り ・花芽を必ず付ける ・予備枝は不要 ・枝を開かせる ・切り返し不要
    中勢の場合
     ・予備枝を20〜30% ・花芽を抑え数を減らす ・切り返しを行う
    弱勢の場合(ガセ)
     ・予備枝を50〜70% ・伸ばす部分は一年毎位に長く取る但し伸びにくいためで、花芽は落とす 

剪定の総則

1. 樹勢は新梢の伸長度により判断し上部でも30p程度なら落ち着いた状態
2. 冨有、松本の成木は落ち着いた状態ならどこから切っても良く問題は数量だけで、暴れることはない
3. ガセ樹は強剪定と予備枝を多くする
4. 枝の枯れ込みは日照不足より着果過多、N過多による(先端のみ花芽がつく)
5. 日照を良くするため又損傷果をなくするため上下及び左右に適当な空間(入り江)を作る
6. 枝を伸ばす方向を考えて芽の向きを取る
7. 芽から新梢の出た状態を想像して剪定をする
8. 太い内向枝の密生は小枝が無くなる、内向枝を整理し小枝があれば、どの方向かで残しておく
9. 側枝の古いのは適切に更新する
10.下枝は長くならないように2〜3芽位残して切りつめる
11.直立した新梢は太くなるので成る可く除く
12.切り口の徒長枝は同化作用の始まる前五月初めにきれいに除く
13.不定芽は樹勢が強ければどこからでも出る
14.幼木は邪魔になる枝のみ除き他は芽向きだけ見て剪定する、枝の多い方が早く大きくなる
15.落ち着かせるため一個でも早く着果するよう剪定する(幼木)
16.樹勢は冨有、松本は大差ないが、順序は冨有、松本、伊豆となる、着果が多いと松本は冨有より芽がつぶされる 

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